債権者集会
取引先の旅館が突然倒産しました。行って来ました、伊豆まで債権者集会に。ここ最近で、取引先のホテル・旅館の倒産は3件目です。
ここは本当に良い旅館です。伊豆の有名ホテルの社員も研修に来るほどの格式高い旅館です。まさか、潰れるとは…
で、債権者集会は、軽い修羅場になっていました。水面下で売却交渉を進め、23日売却、29日より営業休止で、本日が集会です。
旅館も、経営者も破産申立てしているので、債権はすべて放棄です。私共は害虫防除で年間保守契約しています。毎月請求していますので、年間料金の半分を放棄です。(でも違うらしい。後述)
で、質疑応答。
口切がメンテナンス会社。「計画倒産じゃねーか!」
なんでも、この旅館に社員を数人行かせているらしい。清掃かな? で、売却したことも知らせてくれなかった、と。突然29日に引き揚げを勧告され、7月3日からまた来てもらう、と理由もなく、言われたとの事。
本当のことを何故知らせないんだ、と怒っている。労働債権に自分の会社から行かせている社員の分も含めろ!と訳の分からないことを言っている。
それに火がついて、別の奴も「分かっていたら商品を納品しなかった。計画倒産だ!」、と。
「今から旅館に入らせろ!引き取れるものはすべて引き揚げる」、と
拍車をかけ言い掛かりを付ける輩まで出てくる。「俺は経営者じゃなくて、使われの身だけど、こんな大人しい債権者集会は初めてだ!主張するものはドンドン主張しろよ!」
って、訳わかんない言い掛かりで騒いでいる。言ってみれば潰れる会社はみ~んな計画倒産です。でもここは、いわゆる計画倒産ではない。
うちは昨年、鬼怒川のホテルでそれにやられました。譲渡が決定しており、地元企業では噂になっていたらしいです。
譲渡前に、我々のような地元以外の業者に保守を契約し、その後すぐに倒産。債権は当然放棄。次の会社は、完璧に保守が済んだ段階で営業開始。さすがに頭にきた!
こう言うのがいわゆる計画倒産です。ここの社長は、サービス業を貫いただけです。28日までの営業で、物やメンテナンスがなくなれば、お客様に迷惑が及ぶ。そちらを優先するのは、旅館業なら当たり前だ。
債権者集会に、経営者が顔をだし、私達に頭を下げています。普通は弁護士だけです。
輩の債権者は、今までは当然、仕事を貰うために低姿勢に言葉遣いも気をつけていた筈です。倒産したとたんに、今度はお世話になっていた社長に対して罵倒する。聞くに堪えない。
そんな奴は、次は我が身だ。少なくても、いままで仕事を頂いていた筈です。感謝の心はないのか?そりゃ~経営の失敗でしょう。でも、経営者なら分かる筈。
大人しくしていた半数ほどの債権者は、同情しているんだ!大人しいのは大人だから同情してんだ!人ごとの言い掛かり野郎とはちがうんだ。
で、この債権者集会に倒産した社長は、次の引き受け会社に参加してもらっていました。旅館経営者仲間が、購入したのだと。
説明がありました。「納品されている商品は、手前共で使えるものはすべて買い取ります。また、既存お取引先様とは、継続お取り引きをお願いします。」、と。
これ、すべて倒産した社長が段取りした筈です。そんな心も分かんねぇーで!商品引き揚げるって言った奴はどうすんだろう??引き揚げろよって。
で、引継ぐ会社が出てきてから、輩共のトーンが下がったのには笑える。
で、解散。次の会社の担当専務に群がる。現金な奴らだ。私の会社の業務は、明日、明後日の問題ではないので、来週以降落ち着いてからアポイントを取ろうと思い退散。
すると、玄関に倒産した社長がいました。当然、今までありがとうございました。って言います。そして、社長もがんばってください。って言って握手しました。
したら、FCCさんの継続の話しはしてあるよって、社長。要するに、ほとんどの会社が、債権を1ヶ月分だけの放棄で、次に継続出来るように配慮して下さっているってことです。
私は、社長の今後の人生の再建を心よりお祈りしています。
| 固定リンク
« 経営者感覚 | トップページ | ‘るる’がまた… »
コメント
今日のお話は強烈に勉強させていただきました。
心の在り方や「人として」の部分です
それぞれの本質が表れているだけだと思います。心がけの大切さを再認識です。
貴重なお話をありがとうございます。
投稿: 沼田ではたらく小さな会社の社長 | 2009年7月 3日 (金曜日) 22時31分
勝てば官軍みたいなのって嫌ですよね!
偽者ではない頑張ってきた人への、思いやりは
当然の日本人の心だと思いますよ。
負ける時って誰でもあります。負けた時の振る舞いや
負けた時の心のあり方が本当の勉強だったりします
よね。
反対に負けた人へは、武士の情けって言うのがありました。今はあまりないです。
強い人間なんて本当はいないです。
ツキがあるか?ないか?そんなもんかも知れないです。
そうなった時、どうすんの?って思いますよ。
罵倒している人は助けてくれる人はいないですね
きっと。
しかし、ただの弱い思いやりや、優しさは、だらしないって
言うらしいです。
でもこの場合、誰が攻めることができるのだろう???
投稿: fukasawa | 2009年7月 6日 (月曜日) 22時47分
貸倒引当金は確かに致命傷になります。でもそれぐらいは社長なら承知のはずです。
罵倒するのとは別次元だと思いました。
その旅館を愛しているお客様が増えますように
御社長は現代に生きる侍社長!
(債権者集があったとしたら参加する側ではなく開く側の会社をやっていることを強く意識しました。)
投稿: 沼田ではたらく小さな会社の社長 | 2009年7月 9日 (木曜日) 22時25分